大西 基

早起きして、チャンネルNECOで「颱風とざくろ」を見ています。これは1969年のテレビドラマで松原智恵子主演、監督は主に藤田繁矢(後の敏八)です。ロケ撮影が多いので昭和レトロ好きには堪らないものがあります。またゲリラ撮影なので街を歩く人の反応も面白いです。僕は最近、街のスナップを撮っているので(onishimotoi.com/top/作品/夏物語/)嬉しくて狂喜乱舞しています。(かなりマニアックですが)

このドラマは藤田監督の初期作ですが、即興的な演出(と思われる)が本当にうまいなあと思います。そして俳優がイキイキと演技している。この辺はゴダールの遺伝子を受け継いでいるのでしょうが、後年の藤田作品は即興演出が過剰になり、よくわからない映画になってしまったものがあります。(1979.「天使を誘惑」1982.「ダイアモンドは傷つかない」)僕のようなファンにとっては、そのグダグダ感が堪らないのですが、要は監督に「ひらめき」が起こらないまま撮ってしまった映画と言えるかもしれません。(あくまで私見ですが)

ここから写真の話ですが、1980年の大学時代、高梨豊先生(あえて実名で書きますが)が沢渡朔さんのことを「やっぱり、何か、ひらめかないとダメな人みたいだね。」と仰ったことを何故かよく覚えています。(当時の沢渡さんは作品発表が少なかったのです) ところが約10年後、沢渡さんはグラビア界に不死鳥のように蘇り、独自の境地に達します。その辺は、グラビア写真集というメディアに、うまくご自分のポジションを得たとも言えるのですが、何よりも撮り続けたことの勝利と言えます。

それに対して藤田監督は後年、俳優としてのお仕事が多くなります。映画監督と写真家の違いはありますが。考えさせられるものがあります。とは言え、藤田敏八の即興演出は永遠に不滅です。明日(22日)の最終回を見てください。かなりブッ飛んでます。え、これで終わり?という感じ。

何やら藤田監督をディスっているようになりましたが、1980年に有楽町の昔のソニービルの特設ジーンズバーゲン会場でお見かけした、ビンパチさん、カッコ良かった!今でも愛しています!